痛みわかる 頼れる 離婚は増えて、今や1度離婚を経験した「バツイチ」は珍しくなくなった。それどころか、最近、雑誌やテレビなどで「バツイチがもてている」と話題になっているようだ。
本当なのか? そういえば、探偵の周囲でも再婚する人が目立つ。早速調べることにした。
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まずはバツイチの女性の調査から。東京都の栄養士のA子さん(42)は、4年前に2人の子を連れて離婚。その後、2年前に5歳年下の男性(37)と再婚した。
前夫は高収入だったが子どもに冷たく、離婚を持ちかけたのはA子さんだった。離婚し、世間からの冷ややかな目もあった。しかし仕事で知り合った今の夫は初婚で、「苦労を乗り越えている女性の方が他人の痛みがわかり魅力的。若い子より話して楽しい」とA子さんに言うそうだ。
30〜40歳代のバツイチ女性を取材し、女性誌「VERY」で4年前に連載したエッセイストの森綾さん(42)は、彼女らに「前向きで魅力的」という共通点を感じたと言う。「我慢を重ねて生きる時代ではなくなった。『まだやり直せる』と人生をリセットする離婚が女性に多いためでは」と森さん。新しい生き方を自ら選び、生き生きと暮らす人ならもてても不思議はないと、探偵もうなずいた。
データではどうか。人口動態統計では、婚姻件数のうち再婚女性が占める割合は1975年に7・5%だったのが、2006年は16・3%。31年で2倍強に増えたが、こうした傾向は男性も同じ。
「どちらかもしくは両者が再婚のカップルの婚姻は年々増え、今や全体の4分の1に上ります」と厚生労働省。こちらも30年で2倍になり、再婚が増えていた。
ということは、バツイチ男性の“人気”も高まっているということか。
今春、離婚した会社員のB雄さん(41)は、その直後から友人からの誘いが増え、若い独身女性と飲食する機会も増えたという。「若い女性は離婚の経験談に関心が高い。結婚と離婚を経験した大人として興味を持たれるようです」と分析する。
「恋の現役」に戻り、ジムに通って9キロ減量した。「離婚して男としての至らなさにも気付き、最近は女性の荷物を持ったり、褒め言葉をかけたりするようになりました」
会社員のC彦さん(39)は4年前に離婚。こちらも「結婚相手を探すサイトを通じて60人以上に会った」という。デートをする機会が増えたのは、30歳代の独身女性が増え、離婚経験が大きなマイナス要素とされなくなったためだと見る。
結婚情報サービス会社「サンマリエ」(本社・東京)の本部長の河口正明さんは、探偵が集めてきた証言に「そうでしょうね」とうなずくと、「離婚したら肩身が狭いという見方がなくなり、バツイチの人の結婚力がアップしている」と明言した。
会員で結婚に至ったカップルのうち、離婚経験者が片方か両方のカップルはこの5年で14%から31%(昨年度)に倍増した。「結婚に夢を描きがちな20歳代は別だが、真剣に考える30〜40歳代にとって『初婚』は結婚相手の絶対条件でなくなった。むしろ様々な経験を経てコミュニケーション力がついており、再婚の人の方が結婚に到達する確率が高くなっている」と河口さん。
なるほど。とはいえ、年齢や男女の別、経済状況でも微妙に違うらしいから、「モテたいので離婚」という軽率な行動は要注意だ。
[証言]離婚「する」と「される」で差 結婚の問題に詳しい東京学芸大教授の山田昌弘さんの話 バツイチでもてる人が出ているのは理解できる。バツイチの人は、一度は「結婚OK」のサインを出し、出された人。異性と魅力を認め合った経験があり、付き合い方の心得もある。ただ、それは30歳代以上に該当すること。20歳代で未婚者とバツイチを比較した場合は別だろう。
昔のように「9割の人が30歳までに結婚した社会」では、離婚した人は例外扱いだった。それが「離婚したくても離婚しにくい」状況から、「離婚したくなくても離婚される」状況に変わった。生き生きした姿で人を引き付けるのは「離婚したくてした人」の方で、「離婚されてしまった人」とは経験者内の格差が生じているのではないか。また、男性は経済破たんで離婚されるケースが多く、その場合はもてにくいだろう。
[データ]未婚者は30年で4倍 国勢調査の分析から、ある年齢層では「結婚経験がない人よりある人の方が結婚する率が高い」ことがわかった。国立社会保障・人口問題研究所の岩沢美帆さんによると、30〜34歳の女性のうち、2005年に未婚者で結婚した人は1000人中75人だったが、離婚か死別で再婚した人は1000人中101人だった。同年代の男性も未婚者で結婚した人が1000人中62人なのに、離死別者で再婚した人は196人もいた。
他方、未婚者は年々増えており、現在は30歳代前半の男性の47%、女性の32%が未婚だ。1975年はそれぞれ14%と8%だったから、30年でほぼ4倍に。最近の状況について、「一度も結婚しない人が増えている一方で、結婚経験のある人、特に女性が昔より再婚しやすくなっている」と岩沢さんは話す。
[余談]「次」を大切にしたいのかも 友人の男性から、再婚の知らせが届いた。前の奥さんと別れて3年ほど。口がうまいタイプでもおしゃれでもない彼が、もう再婚?と驚いた。でも、仕事優先で生きてきた彼が「家庭を大切にしていく」と誓っていた文面には、エールを送りたくなった。
「離婚は結婚の数倍も大変」と経験者は口をそろえる。一度結んだ契約を解消する作業は、想像するだけでもしんどい。そこに子どもの存在が加われば、なおさらだろう。
それだけに、乗り越えた人には次の結婚生活を大切にする気持ちが強くなるのかもと感じた。欧米で夫の家事育児時間が長くなったのは、離婚が一般化して「離婚されないように」と男性たちが変わったからとも聞く。バツイチの動向が社会を変えるのかも、と思った。
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ソース:読売新聞)
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