40歳の声…いま産みたい

探偵の周りの35歳から44歳までの女性が、次々と子どもを産んでいる。はやりの言葉で言うなら、アラフォー(アラウンド・フォーティー=40歳前後=)世代の初産。仕事一筋だった「バリキャリ」の友人たちが次々と育児休暇を取る姿に、同世代としてちょっとあせる。アラフォー世代の出産は増えているのか? それはなぜなのか?(大森亜紀)
「アラフォー世代」仕事一筋、見つめ直す アラフォー出産ブームは、探偵の周りだけではない。
妊娠・出産・育児情報を提供するサイト「babycom」主催の「マタニティ・ヨーガクラス」(東京・恵比寿)をのぞいた。参加者約20人のうち35〜40歳代前半はおよそ3分の1。講師のきくちさかえさんは「出産年齢が全体的に上がったので、20代は『若い』、35歳で『普通』。都会だからかもしれませんが、40歳以上は珍しくない」。
厚生労働省の人口動態統計を見ても、35〜44歳で第1子を出産したのは、1990年に2万1224人だったのに、2000年は3万7219人、06年は6万1439人と急増している。
アラフォー出産の増加は、晩婚化の影響もある。ただ、人口動態統計では、00年の女性の平均婚姻年齢は28・2歳、06年で29・6歳。確かに遅くなったが、それだけが増加の要因とも思えない。
35歳以上の「高年初産婦」の割合が「じわじわと増えている」と話すのは日本赤十字医療センター(東京都渋谷区)産科部長の杉本充弘さん。「生殖医療技術が進み、不妊治療ができるクリニックが増えたことも要因の一つ」と言う。
年齢が高くなるにつれて、妊娠の可能性は低くなる。アラフォー世代に、医療の進歩が恩恵をもたらしたのは間違いない。ジャガー横田さんなど、不妊治療体験を公表するアラフォー世代が増えたことも影響しているようだ。
働く女性のサイト「カフェグローブ」の運営会社社長、矢野貴久子さん(45)もジャガーさん出産のニュースに「もう一度トライしてみる価値はある」と励まされたという。不妊治療を受けたが、社長業との両立が難しく、中断していた。44歳で治療を再開、第1子を出産。親業を考える「ペアレンティング」のサイトも11月に始めた。
でも、不妊治療の進歩だけが、この世代の出産増の原因ではないような気がする。
「40歳前後で『駆け込み出産』する女性が多い」というのは、出産経験者のインタビューから「女の産みどき」(WAVE出版)を書いた大内悦子さん。「仕事も結婚も今は辞める選択ができるけれど、子どもを産んだら親を辞めることはできない。どうしようかと決めかねているうちに、40歳になり、『できちゃったら産もう』と運を天に任せる人も多いのでは」と話す。
妊娠中の千葉県の会社員、尚美さん(39・仮名)も「40の声が迫った時、産むなら今しかないと思った」と言う。30歳代半ばは「まだ余裕がある」と思っていたが、だんだんと「産む限界」の更年期が迫ってきていた。年齢に加えて、仕事の天井も見える。「このまま仕事を続けても、女性の部長は社内におらず、せいぜい課長どまり。そんな人生でいいのかと考え直した」。人生の「リセット」の意味も込めて、産み時を選んだという。
出産医療ライターで「未妊 『産む』と決められない」(NHK出版)を書いた河合蘭さんは、「アラフォー世代の先輩たちは、男女雇用機会均等法以前に仕事をはじめ、仕事か家庭かどちらかを選ばなきゃいけなかった。その姿を見てきたアラフォー世代は両方どちらもバランス良くと考えている」と話す。
ただ、働きながら育児している先輩女性が身近にいないから、いつ産もうか決心がつかない。産む限界が近づいて、ついに決心する。そんな心理が、アラフォー出産増加の要因かもしれないと思いながら、報告書をまとめた。
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ソース:読売新聞)
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